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展示品に接する機会が少ない生徒のための博学連携による教育支援プログラムの実践研究

2014-2018 科学研究費 基盤研究(B)

博物館を利用した学習は非常に有効であると考えられているが、真に有効に活用できている学校は少ない。また従来の博学連携は学校が博物館に来館することを前提として進められていたため、来館しなくては効果を得ることができない問題もある。
本研究は、児童の興味・関心がわきやすいARなどの先端技術を用いて博物館が持っている専門のノウハウを学校教育に活用し、子供たちの学習機会の充実を図るもので、博学連携による体系化された次世代型教育支援プログラムを設計・開発するものである。特に大都市から離れ、博物館に行く機会の少ない学校の学習プログラムの充実を図るもので、開発された博学連携実践プログラムを全国に発信することによって、博物館に行けない各学校への教育支援を目的とする。

■先行プロトタイプの貸出キット「ヒトの体の動きと運動」による検証

小学校4年生向けに科学博物館を対象とした貸出キットを開発・評価した。小学校4年生の理科教科書の「ヒトの体の動きと運動」という単位を参考にして、人間の骨格、筋肉、動き、また動物との違いを主題にし、貸出キット教材を作成した。
各セクションで生徒は教科書の内容を読み、絵を描くアクティビティを行なった。その後、タブレット上にゲームとアナログ要素を組み合わせたARコンテンツを体験することができた。例えば、「骨」のセクションでは、まず骨とは何なのかについて読む。「骨」の絵を描くアクティビティは自分の体を触りながら各骨の形を想像し、人の輪郭の中に描いてみるという内容であった。
タブレットでは、箱セットの上にあるARターゲットにかざすことで2つのミニゲームを行うことができる。1つは3D空間の中で隠れている骨を探すゲーム、もう1つは体の大部分に骨を割り当てるゲームである。タブレットと箱セットのゲームを終えた後、生徒は箱を開け、中に入っている骨のレプリカを見て触ることで実際に骨の形を確認することができた。このように多様な学習方法ができ、デジタルコンテンツを活かしながらも、画面中心にせずアナログ要素も取り入れた。その他の例は、「体の動き」では関節を組み合わせるゲームを行なった。2つの骨のレプリカを持ち、NFCタグを通して、各骨をタブレットで読み込むと1つの関節を出来上がる。以上の目的はデジタルとアナログを同様に体験させることだった。
貸出キットは宮崎県の3つの小学校で実証実験を行なった。学生の全体的な反応は積極的で、タブレット上のコンテンツは効果的だと確認ができた。

本研究では、上記のプロトタイプ研究の結果を元に次の点を考慮し、歴史系博物館のアウトリーチプログラムを開発することにした。

  • レプリカを触ること、また画面を中心にしないデジタルコンテンツを通してそのレプリカを拡張することの必要性がある。
  • 「イベント」のようなアプローチを行うことで、アウトリーチプログラムを課外の活動にし、授業のスケジュールに影響を与えないようにする。

ヒトの体の動きと運動

■組立式壁面展示

アウトリーチプログラムの「組立式壁面展示」を制作した。この展示の目的は3つの展示方法を検討し、展示を見る順番によって評価に変化があるかを検討した。順番による変化は確認できなかったが、それぞれの展示方法の効果をアンケート調査及び脳波計によるデータ分析によって確認することができた。アンケート調査及び脳波計のデータにより、「インタラクティブ展示」は3つの展示方法で最も効果的であることが明らかとなった。しかしながら、小学生によっては映像展示や資料展示の方が効果的であったため、次のプロトタイプではデジタルコンテンツを基盤にし、他の展示方法も含めた設計を行なった。また、実験では環境の結果の違いを確認ができ、アウトリーチプログラムは生徒の身近な場所で行う方が知らない場所に行くよりストレスになり難いことが確認できた。

組立式壁面展示

■体験型インタラクティブ展示

アウトリーチプログラムの「体験型インタラクティブ展示」を開発した。この展示の目的は、ポータブル性、共用性、また資料に触れる学習スタイルにおけるデジタルとアナログの総合性という課題を解決することであった。アプローチとして、スマートプロジェクターをデジタルコンテンツのプラットフォームにし、資料に触ることができるよう3Dプリンターで銅鏡の複製品を制作した。さらに、創造力を刺激するようなオリジナル銅鏡の制作も提供した。この研究の段階では、歴史について学ぶための創造力を刺激する学習スタイルは、体験型の学習スタイルと比較し、小学生の興味・関心を引くことができるかを検討した。実験は「組立式壁面展示」と同時に行い、体験型インタラクティブ展示の方が小学生の興味を引くことが確認できた。
デジタルコンテンツを基盤とした「体験型インタラクティブ展示」は「組立式壁面展示」より評価が良かった。また、創造力を刺激する学習スタイルは小学生に対して非常に効果的であることが明らかとなった。

体験型インタラクティブ展示

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